雑感

2018-05-02| テーマ 珈琲のこと, 豆の樹ブログ |

1、モカ

前のブログでも書いたように、イエメンに嘗てあった港の名前です。栽培品種として、一時期モカ種というのがありましたが、現在は別な名前になっています。ところが、日本では、自家焙煎店や豆売り店にいくと今だにモカという名のコーヒーがあふれています。イエメン産のコーヒーであれば、慣習上モカと付けても許されると思いますが、ご存知のようにイエメンは内戦状態にあり、コーヒー栽培どころではありませんし、ほんのわずかしか日本には入ってきていません。巷にあふれているモカはそのほとんどがエチオピア産のコーヒーです。モカハラー、モカイルガチャフ、モカシダモ、モカジンマ、ウオッシュトモカ、アラビアンモカ、これら全てがエチオピア産コーヒーなのです。良心的なお店では、エチオピアイルガチャフ、シダモなどで販売されていますが、有名店ですらモカで売っているところがあります。エチオピアでは、現在、自国のコーヒーを商標登録しています。エチオピアコーヒーは、エチオピアとして販売してほしいとのことです。エチオピアコーヒーは、欧米では既に、高品質コーヒーとして認められ、商標登録を受け入れられています。

2、キリマンジャロ

タンザニアの北部、ケニアとの国境付近にある山脈がキリマンジャロ山脈です。この山脈の山麓に、モシ、アルーシャという生産地域があります。ここで生産されるコーヒーがキリマンジャロです。しかし、今日本に入ってきているタンザニアコーヒーのほとんどがタンザニアの南部の山麓で生産されているものです。お米で例えるなら日本産のお米全てを魚沼産で販売するのと同じことなのです。コーヒー販売を生業とするなら、こうしたいい加減なイメージで販売するのではなく、正しい知識をお客様に広めることも重要な役割だと考えます。

3、酸味のコーヒー

モカやキリマンジャロの話がでたので、巷で、噂されるこれらに共通する酸味のコーヒーというイメージについて話します。
1950年代から60年代にかけて、喫茶店の全盛期、自家焙煎の店はわずかで、ほとんどの店が大手のロースター(UCC,キーコーヒー、チモトコーヒーなど)から焙煎された豆を購入していました。70年代になって、コーヒー専門店というジャンルの喫茶店ができてくると、ブレンド以外に4~5種類のコーヒー(ブルーマウンテン、モカ、キリマンジャロ、マンデリン、ブラジル、コロンビアなど)を置き、お客様に選んでもらうようになりました。専門店といっても、自家焙煎しているわけではありませんので、ロースターで味作りされたものを販売していたにすぎないのです。結果として、モカやキリマンジャロは酸味の、マンデリンは苦みのコーヒーになってしまったのです。

4、最後に

コーヒー通といわれる人のなかに、苦くなくてはコーヒーじゃ無いとかコーヒーの味を決めつけるように仰る方がいますが、それは、ご自分の好みをコーヒー全般に押し付けているだけの話でしかありません。コーヒーの味や香りは焙煎によって創られるもので、浅ければ酸味、深ければ苦みのコーヒーになります。つまり、焙煎のすべての段階でできた味や香りはコーヒーの味や香りであり、それぞれにその味や香りを好まれる方々がいらっしゃるのです。ご自分が美味しいと思われたコーヒーを他の方に薦めるときには注意が必要なのです。


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